清水研究室:植物遺伝育種学

植物遺伝育種学の研究室です。
植物遺伝育種学研究室では、イネの様々な遺伝資源を用いて、
肥料の削減に適応できる品種改良に役立つ遺伝子の
探索と機能解析について研究しています。

① たくさんのイネ品種を使った実験

日本の栽培・在来イネ品種群や世界で栽培されているイネ品種群など
多数の品種を、学内圃場実験施設の無施肥水田で栽培し、
コメの生産量に関係する形質の調査をしています。(写真1)
田んぼで調べた性質(形質)と、イネの持つ遺伝情報を合わせて解析すると、
形質に関わる遺伝領域を明らかにできる場合があります。
写真2はその解析例で、横軸にはイネの全染色体(chr.)1~12に渡る
塩基多型がゲノム位置順に並んでいて、その縦軸の値が閾値以上を示す
塩基多型(図中では下向きの黒矢印)は、形質への関与が示唆されます。

写真1:無施肥水田での栽培の様子 写真2:全ゲノム・アソシエーション解析例

② 近縁野生種を使った実験

近縁野生種は、栽培化の過程で失われた未利用の遺伝資源
として利用できます。研究室では、近縁野生イネの染色体断片を
栽培イネに導入した染色体断片導入系統群を用い、
野生イネ由来の栄養ストレス耐性遺伝子の探索も行っています。
写真3は、リン栄養の供給条件を変えて色体断片導入系統群の
生育の違いを試験している様子です。
導入系統に見つかった野生イネの遺伝子は、
形質マッピングという方法で遺伝子を明らかにします。
現在、野生イネ由来の複数の耐性形質について、
その原因をもたらす染色体領域を明らかにすることができました。

写真3:野生イネ染色体断片導入系統群の試験の様子

③ 組換えイネを使った実験

遺伝資源の探索によって明らかになった遺伝子の機能を確認するために、
その遺伝子の発現を強めたり・逆に弱めたりする
遺伝子操作をした組換え体を用いた実験を行う必要があります。
学内圃場実験施設にある閉鎖温室を使えば、花粉の飛散などによる
自然環境への組換えDNAの流出を防ぎつつ
組換え植物を用いた栽培実験を行うことができます(写真4)。

写真4:閉鎖温室における遺伝子組換えイネ栽培試験の様子

(2018年4月作成)